2026/05/21 19:21
男のファッション/女のファッション
10年以上、ファッション業界に片足を突っ込んだような状態で生きてきたので、友人知人にはアパレル業を生業としていたり、仕事に限らずファッションに精通した人が多い。
彼ら彼女らを見ていると、男女のおしゃれ構造には違いがあるように見える。
大まかに言えば、男性のファッションは”構築”で、女性のファッションは”再構築”なのだ。
この違いにはやっぱりジェンダー(社会的・文化的な性別)が由来するのだと思う。
男性は、ファッションに触れたとき、ほとんど初めて”自分が見られる存在である”ことを意識する。ファッションを通して、主体であるだけだと思っていた自分が、客体であることにも気がつくのだ。それまで男性たちは、女性を鑑賞し評価するもので、自分たちが鑑賞評価されていることに、気がつけない人はとても多い。
だから男性のファッションは、ルールを構築するところから始まる。”見られる自分”をどうデザインしていくかに熱中し、自分だけのマイルールを構築していく。

友人知人を見ても、彼らは、どうやら細かなマイルールを持っているようだ。例えばパンツの太さ、トップスの丈感、配色の組み合わせ。
そうした数々のマイルールから、見られる自分のディテールをどんどん細かくし解像度を上げていくことで”自分らしさ”に出会う。
一方で、女性のファッションはどうか。
多くの女性はファッションに深く触れる前に、多くは多感な学生時代に、”見られる自分”に気がつく。容姿や身につけているものによって、「可愛らしいか可愛らしくないか」「エロいかエロくないか」果ては「セックスできそうか、できそうでないか」まで。
女性がファッションに触れたとき、それまで社会に押し付けられてきた服装によるラベルを先ずは剥がして、”見られる存在”から”見せる存在”に昇華する。
一方的に社会の枠組みで決めつけられた、”らしさ”を脱いで、客体であった自分の身体を主体に取り戻す。そこがスタート地点になるのだ。

BALENCIAGA Couture 25-26AW / Women’s
だから女性のファッションは、男性のそれに比べ、開放的でバリエーションも豊か。流行の移り変わりも早い。それは社会が作ってきたルールを1度壊して、新しく自分たちのものとして再構築していくからだと思う。
男性のファッションも、女性のファッションも、最終地点は、他者からの目線をデザインするところに行き着くが、そこまでの道のりがちがう。どちらが良いかは考えていない、そんなことよりもこの違いが、双方のファッション文化を実は若干異なる方向に築いてきたことに目を向けると、とても興味深い。
ファッションカルチャーの違いは、単なるスタイルではなく、それぞれの性別(ジェンダー)が、社会とどのように向き合ってきたか、その痕跡でもあるのだ。
writer : Hazuki SUEISHI
TEDDY MARKET
